占い霊感相談ナビ弁護士監修メディア

霊感商法の被害と消費者契約法に基づく契約取消しの考え方を整理する

この記事の結論

  • 不安をあおる告知や、霊感等による知見を用いた告知によって契約させられた場合に検討できる、消費者契約法に基づく契約の取消しについて解説します。
  • 取消しの意思表示の方法、行使できる期間の制限、判断が個別事情によって異なる点まで整理します。
  • 本記事では、消費者契約法が定める取消しの類型/取消しの意思表示はどのように行うか/取消しができる期間には制限がある を扱っています。

「先祖の因縁を解消しないと大変なことになる」といった告知で不安をあおられ、高額な契約をしてしまった場合、消費者契約法に基づいて契約を取り消せる可能性があります。ここでは、霊感商法に関わる消費者契約法上の取消しについて、取消しの類型、意思表示の方法、期間制限、取消し後に請求できることを整理します。契約の取消しが認められるかどうかは、勧誘の態様や契約に至った経緯など個別の事情によって判断が異なる点に、あらかじめ注意してください。

消費者契約法が定める取消しの類型

霊感商法に関連して主に問題となるのは、消費者契約法第4条第3項に定められた「困惑類型」の取消しです。このうち、代表的な2つの類型を整理します。

類型主な要件
不安をあおる告知(同項3号)勧誘に際し、消費者が抱いている不安を知りながら、その不安をあおり、契約が必要不可欠だと告げること
霊感等による知見を用いた告知(同項6号)霊感その他の合理的に実証することが困難な特別な能力による知見として、そのままでは重大な不利益が生じる旨を示し、契約が必要不可欠だと告げること

霊感商法の典型的な勧誘の流れや手口については霊感商法の典型的な手口と契約取消し・返金の対処法で紹介していますので、あわせて確認してください。開運グッズの販売を入口とする勧誘のように、「霊視」を直接用いない場合でも同様の構造で不安をあおる手口もあります。詳しくは開運商法の手口と高額請求トラブルへの対処法・返金相談ガイドを参考にしてください。

取消しの意思表示はどのように行うか

消費者契約法上の取消しは、消費者から事業者に対して「契約を取り消す」という意思表示を行うことで効力が生じます。法律上、書面でなければならないという決まりはありませんが、後日「言った・言わない」の争いにならないよう、意思表示をした事実と日付を記録に残せる方法で行うことが望まれます。実務上は、内容証明郵便で取消しの通知を送る方法がよく用いられます。書き方や文例は占い代金の返金請求を内容証明郵便で行う書き方と文例で紹介しています。

取消しができる期間には制限がある

消費者契約法上の取消権には行使期間の制限があります。2022年12月の法改正により、霊感等による知見を用いた告知を理由とする取消しについては、追認をすることができる時から3年、契約締結時から10年に期間が伸長されました(改正前に締結された契約には旧法の期間が適用される場合があります)。それ以外の困惑類型による取消しについては、追認をすることができる時から1年、契約締結時から5年が原則です。制度の詳細は消費者庁の消費者契約法の解説ページで確認できます。条文そのものはe-Gov法令検索の消費者契約法で参照できます。

「気づいたときにはもう期間が過ぎているのでは」と不安に思う場合でも、期間の起算点の考え方は事案によって異なります。自己判断で諦めず、早めに相談窓口で確認することが重要です。

取消しが認められた場合に請求できること

取消しの意思表示が認められると、契約は初めから無効であったものとして扱われます。その結果、すでに支払った金銭については、法律上の原因なく事業者が利益を得ている状態(不当利得)にあたるとして、返還を請求できる場合があります。一方で、事業者側から商品の返還を求められることもあり、支払った金額のすべてが無条件に戻るとは限らない点には注意が必要です。

判断は個別事情によることに注意

取消しが認められるかどうかは、勧誘時のやり取りの内容、告知された不安の内容、契約に至るまでの経緯、証拠として残っている記録の有無など、個別の事情を総合的に見て判断されます。同じような相談内容であっても、事案ごとに結論が異なることがあります。この記事の内容は一般的な制度の説明であり、個別の契約について取消しが認められることを保証するものではありません。

相談先

まずは消費生活センター(消費者ホットライン188)に相談し、取消しの主張が可能かどうかの見立てを聞くことをおすすめします。宗教団体や特定の団体が関与するなど対応が複雑な事案では、弁護士への相談も選択肢です。弁護士の心当たりがない場合は、法テラス(日本司法支援センター)で相談窓口の案内や、収入等の条件を満たす場合の無料法律相談制度を利用できます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 「不安をあおる告知」と「霊感等による知見を用いた告知」はどう違いますか。

A. どちらも消費者契約法第4条第3項の困惑類型の取消し事由ですが、要件がやや異なります。霊感等による知見を用いた告知は、実証困難な特別な能力による知見を示す点に特徴があり、行使期間もより長く定められています。実際にどちらに該当するかは、勧誘時の具体的な発言内容によって判断されます。

Q2. 契約書に「返金しない」と書いてあります。それでも取消しはできますか。

A. 消費者契約法に基づく取消権は法律で認められた権利であり、契約書の記載によって一方的に排除できるものではないと考えられています。ただし個別の記載内容によって評価が異なる場合があるため、契約書を持参のうえ相談窓口で確認してください。

Q3. 家族が代わりに取消しの手続きをすることはできますか。

A. 契約の当事者本人の意思表示が基本ですが、本人の状況によっては家族が相談に同行したり、専門家への依頼を検討したりすることもできます。まずは消費生活センターに相談してください。

免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の契約について消費者契約法上の取消しが認められることを保証するものではありません。具体的な該当性については、消費者庁、国民生活センター、弁護士等の専門家にご相談ください。